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『葬式ごっこをしよう。』歌詞

ジャケット

1. この相矛盾した感情を。

きみの絵を、ひさしぶりに見かけた。
前と変わりなく美しいままで、
そのテーマも、線も、表情も、
悔しいくらい、ぼくをつかんだ。

きみの絵を、もっと純粋な気持ちで、
眺められたならって思うんだ。
でも、でも、ごめんやっぱり、
まだきみのこと許せそうにないんだ。

この相矛盾した感情を、
この愛せないような感情を、
ぼくはいつ忘れられるのだろう?
きみの消費者じゃなくて、
友だちになっちゃったこと、
今なら間違いだったってわかる。
わかるけど。

きみの才能がなくなっちゃえばいいと、
願ったこともあったっけ。
ひどいひとがひどい絵を描いていると、
納得したいって思っていたんだ。

でも、きみの絵が見られなくなったら、
たぶんもっと苦しくなっちゃうし、
そんなこと願うべきじゃなかったと、
今では、後悔してるんだけど。

ぼくの嫌いなきみだけを
集めて隠してしまいたい。
きみも見つけられない場所へ。
でもそんなの自分勝手すぎるよね。
いくらきみが憎いからって、
ごめん。ごめん、
きみを許せない。

ねえ、きみも、
こんな苦しみを、
抱えてくれてたら、嬉しいんだけど。

ぼくの音楽を聴いて、
苦しんでくれたらいいな。
そのほうが許しやすくなるから。
こんなゆがんだ形でしか、
きみを許せないような、
弱いぼくを、許してね。

この相矛盾した感情を、
この愛せないような感情を、
ぼくはいつ忘れられるのだろう?
きみの消費者じゃなくて、
友だちになっちゃったこと、
今なら間違いだったってわかる。
わかったから!

(2023年3月; aki56)

2. 葬式ごっこをしよう。

きみと最後に話したのは、
一年前くらいだっけ?
あのあと、きみは何も言わず、
ただ遠くに行った。

きみの優しいことばたちも、
友だちだって言ってくれたのも、
ぜんぶ、ただの気まぐれだったってことなんでしょう。

スーパーの300円の花束と
玄関先の段ボールと、
ぬいぐるみたちを綺麗に並べて。

ねえ、
葬式ごっこをしよう。
もう会えない、きみなんて、
死んだも同じだから。
みかん箱の、棺桶の中で、
眠れ。

きみは、ぼくのことなんて、
きっと忘れているんだろうけどさ、
ぼくは、きみのこといつまでも
考えつづけちゃうんだ。

こんな、おままごとに頼らなきゃ、
きみを追い出せそうにないなんて、
きみが知ったらなんて思うかとか考えている。

線香に火をつけて、
きみの棺桶の前に供えるよ。
きみのところまで、
届くかな。

葬式ごっこをしよう。
思い出とか、未練とかが、
迷わず行けますよに。
きみのことを忘れられますように。

ねえ、
葬式ごっこをしよう。
もう会えない、きみなんて、
死んだも同じだから。
みかん箱の、棺桶の中で、
眠れ。

(2023年3月; aki60)

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